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設立趣意書

設立趣意書

我が国は戦後、幾多の困難を克服して驚異的な経済発展をとげ、昭和40年代以降は成長がやや鈍化したものの比較的安定した伸長を示し、国際的にも自他共に許す先進工業国として評価されるようになりました。
しかしながら、このような目覚ましい経済発展の推移に比し社会資本の充実は未だしの感があり社会福祉は国民生活の向上と均衡した水準を保つことが出来ない状態にあることが指摘されています。また次代を担う青少年の教育・文化・情操面についても今後検討さるべき問題が多く残されております。
もとより社会福祉の向上や青少年対策については、第一義的には国もしくは地方公共団体が真剣に取り組むべき問題であります。
しかし、経済大国として今や世界経済の安定の一翼を担う国際的な責務を負った日本にとって数年来の経済伸長の鈍化ならびに先行き見通しを考えると、国等の施策にその全ての解決を期すべきではなく、社会福祉の向上、青少年対策については、民間においても国等の施策と相まって責務の一端を負うべきものと思います。
麒麟麦酒株式会社は明治40年の創業以来「品質本位」・「堅実経営」という一貫した経営方針を貫いてきており、この間数多の苦境、試練を乗り越えて、良質な製品を適正な価格で消費者に提供するという企業の基本的な責任を果すとともに社会との連帯を重んじ、企業活動にともなうさまざまな社会的責任についても深い関心をもって日ごろから対応してまいりました。
当社は明年創立75周年を迎えることになりましたが、この意義ある年を迎えるにあたり、当社成長の土壌となった社会に感謝の一端を表わし、社会との連帯調和の経営方針をより明確な形で具現するため、ここに麒麟記念財団を設立することにいたしました。また、時あたかも本年は国際障害者年にあたり、障害者の福祉向上は国際的な活動の環を拡げ注目を浴びようとしております。

当財団は広く社会福祉およびその関連分野における事業に対する援助ならびに青少年の健全育成事業およびその関連分野に対する援助を目的にかかげて幅広く社会活動に寄与することを念願いたします。当財団はその財産とするため麒麟麦酒株式会社から当初5億円の拠出金を受け入れて発足いたしますが、将来更に相当額の寄附金を受入れ、事業規模ならびに財団基礎を拡大強化し、よりよい社会づくりに協力する所存であります。
以上 (昭和56年4月21日、財団法人麒麟記念財団設立発起人会において決定)

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© The KIRIN Welfare Foundation.

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